大判例

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東京高等裁判所 昭和56年(行ケ)255号 判決

一 原告主張の請求の原因一ないし三の各事実(特許庁における手続の経緯、本願発明の要旨及び審決の理由の要点)については、当事者間に争いがない。

二 そこで、審決取消事由の存否について検討する。

当事者間に争いのない前記本願発明の要旨及びいずれもその成立について争いのない甲第二号証の一、二によれば、本願発明の押し揃べ機構は、電動カムによるピストンプレス機構で落下折丁を順次後方から前方に向つて押し揃べる押し揃べ機構であると認められるのに対し、成立について争いのない甲第三号証によれば、引用発明の押し揃べ機構は、集積折丁である集結体13と集め具3との間に、折り畳まれた用紙を搬送装置1で上部より押し込むことにより集積折丁を順次前方に押し揃べるものであることが認められる。そして、右認定の事実によれば、本願発明の押し揃べ機構がピストンでプレスするような動きをするものであるのに対し、引用発明の押し揃べ機構は、上部より押し込むものでピストンでプレスするような動きをするものではなく、両者の押し揃べ機構は、右の点で相違するものといわなければならない。

したがつて、審決のいうように本願発明と引用発明の右相違点が慣用手段であるから発明として同一であるとするためには、ピストンでプレスするような動きをする押し揃べ機構が慣用手段でなければならない。しかるに、成立について争いのない乙第一号証によれば、同号証記載のものは、単にカムの運動により槓杆がピストン運動する構造の板カム機構で、押し揃べ機構に関するものではないものと認められ、他にも、右のような押し揃べ機構が慣用手段であることを認めるに足る証拠はない。

審決は、本願発明における押し揃べ機構に対応する引用発明の機構として「固定の集め具と終端部で移動可能な保持具が相対向している」構成と、「それら両具の間に連続して供給される用紙による集結体に対し挿入、移動、脱出、移動の四コースを繰り返す熊手が設けられている」構成とをあげ、これらの構成と「電動カムによるピストンプレス機構」が慣用手段であることを理由に、本願発明と引用発明とが右の押し揃べ機構の点で差異がないとしているが、別記甲第三号証によれば、右引用発明の構成のうち固定の集め具を除くその余の各構成は、押し揃べそのもののための構成ではなく、押し揃べられた用紙集結体を群ごとに集め、これを保持するための構成であり、押し揃べそのものに関与するのは右固定の集め具であると認められるところ、このような構成と用紙の押し揃べに関係のない「電動カムによるピストンプレス機構」が慣用手段であることとによつて、本願発明の押し揃べ機構と引用発明の押し揃べ機構に差異がないとすることはできず、審決の右認定判断は誤りといわざるをえない。

そして、この誤りが特許法第二九条の二の規定に基づく審決の結論に影響を及ぼすべきことは明らかであるから、原告主張のその余の取消事由について検討するまでもなく、審決は、違法として取消をまぬがれないものといわなければならない。

三 よつて、審決の違法を理由にその取消を求める原告の本訴請求を正当として認容することとする。

〔編註〕 本願発明に関する事項は左のとおりである。

一 特許庁における手続の経緯

原告は、昭和四八年七月一一日、名称を「折丁結束機構を連結した紙折機」とする発明(以下「本願発明」という。)につき、特許出願(昭和四八年特許願第七八五六六号)をしたが、昭和五一年一二月一六日に拒絶査定を受けたので、昭和五二年三月七日、特許庁に対し、審判の請求をしたところ、特許庁は、これを同庁昭和五二年審判第二五三三号事件として審理した上、昭和五六年八月二八日、「本件審判の請求は成り立たない。」との審決(以下「審決」という。)をし、その謄本は、同年九月一九日原告に送達された。

二 本願発明の要旨

紙折機構のフレーム下方に適当間隔を置いて折紙の折丁結束をなしうる大きさの結束テーブルを設け、その結束テーブルの表面一部に、電動カムによるピストンプレス機構で落下折丁を順次後方から前方に向つて押し揃べる折丁機構を備え、その集積折丁が一定量に達したとき、その折丁群を該テーブルの表面他側部に自動的に押し出し移送させる押し板を取着けてなる電動押杆機構を装備せしめるとともに、その折丁群の移送側の結束テーブル面から圧縮板とストツパー壁板の各内壁面の対向中央部に連通して結束紐を嵌通する条孔を穿設しかつその折丁群を圧縮する適当な圧縮機構を装備することを特徴とする折丁結束機構を連結した紙折機

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